就活ハラスメント対策インタビュー（東洋大学）/就活ハラスメント検討会

木村

本日はインタビューにご協力頂き有難う御座います。
早速ですが、東洋大学が就活ハラスメント対策に取り組もうと思われたきっかけを教えてください。

近年、特にSNSやLINEなどを介した就活ハラスメント(特にセクハラ)に関連する事件が凶悪化、悪質化しており、学生の中には、相談すべきかどうか悩んだり、或いは相談窓口に気付かないまま悔しい思いをしている学生がいるかもしれないと危惧していました。

腰山

就活ハラスメントに関しては、これまでも発生の都度、対応してきましたが、こうした就活ハラスメント対策の取り組みを体系化し、企業や学生に対して発信することで就活ハラスメント行為を未然に防ぎ、学生を守ることに繋がるのではないかと考えるようになりました。

腰山

木村

実際には、どのような就活ハラスメント関連の相談が多いのでしょうか。

本学で最も多い相談は「オワハラ」に関する相談です。しかし、オワハラは、令和5年12月８日付の関係省庁による要請によって、企業に対してはオワハラを行わないこと、大学に対しては相談環境の整備等が示されました。いわゆる「後付け推薦状」を発行しない大学も増えてきましたので、今後、こういった推薦状に絡むものや、内定出しの前に他社を断るように迫る「わかりやすいオワハラ」は少しずつ改善していくと思っています。

腰山

ですが、企業による新卒獲得競争の加速を実感していますので、「内定辞退を申し出ても再考するようお願いされる」、「意思決定に迷う学生にフォローの名目でしつこく電話がかかってくる」、「まだ就活を続けたい学生に研修参加やアルバイトを求める」など、企業の思いと学生の状況との「ズレ」から、学生が負担感を訴える相談は、今後も増えるかもしれないと考えています。

腰山

また、今回、本学で実施した学生アンケート結果を見ると、オワハラ以外のハラスメントが相変わらず見られ、中には「人格否定や侮辱」に関する回答もありました。2023年現在において未だこのような質問をしているのかと驚くと共に、「人格否定や侮辱」はその後の学生の行動に大きく影響を及ぼす行為であるため、これが事実であるならば大変残念に思いました。

腰山

木村

「オワハラ」や「就活セクハラ」などに比べて、「人格否定や侮辱」はクローズアップされていませんが、学生には大きなダメージとなって自信喪失に繋がるかもしれません。これは、「学生が社会でやっていける」という意欲を挫くものであり、大きな問題だと思います。

木村

すでに東洋大学は昨年より就活ハラスメント防止を発信していますが、どのような形で行っているのでしょうか。

まずは企業に対する発信からはじめました。具体的には、ＨＰの求人受付、インターンシップ/仕事体験受付と同じ階層に、「就活ハラスメントへの取り組み」を公開しました。HPを見ることができるのは企業の方だけではありません。大学は、自学の学生を守る取り組みを行っていることを全ステークホルダーにアピールしています。学生は安心して就職活動に集中してほしいと思います。

腰山

木村

就活ハラスメント防止の発信は、企業から望ましくない声があがるとのではと心配する大学もあると聞きますが、東洋大学はどうでしたか。

企業から望ましくないという声は今のところありません。就活ハラスメント行為は、学生にとっても企業にとってもマイナスです。お互いがルールを守って就職・採用活動を行うことでよりよい就職・採用活動環境づくりに貢献できると考えています。

腰山

また、最初は、自分がやりたい仕事を基準に企業を探す学生が多いですが、企業との接触が増えるにつれて、企業選択の基準が変わる傾向があります。特に、採用担当者や面接官、リクルーターの人的魅力や、インターンシップで体験した企業文化は、内定の受諾を決定する重要な要素となっています。そのため、就活ハラスメントの防止はもちろんのこと、学生を尊重した関わりは企業の採用にとって重要であると感じています。

腰山

木村

就職・キャリア支援部では、就活ハラスメントへの対応が以前から行われていましたが、新たに強化されたのはどのような点でしょうか。

就活ハラスメント含め、これまでの相談は、専門の相談員が相談を受けてきました。また、就活ハラスメントが発生した場合は、相談員・部内で情報共有し、解決にむけて取り組んでいます。今回、あらためて就活ハラスメントへの取り組みを大学として表明し、学生に啓発することで、「一人で抱え込まなくていいんだ」と認識してもらえると思います。

腰山

また、来年度、就職・キャリア支援部では、就活ハラスメント防止にむけた更なる体制整備をチャレンジ目標としています。「体制づくりチェックシート*」に基づいた体制づくりを進めることで、問題が起きた際に手厚くスピード感ある対応できるようになります。これにより、万が一問題が起きても学生が安心して就職活動に集中できるようになると思います。

*「体制づくりチェックリストシート」のダウンロードはこちら

木村

特に学生への周知は、今後どのように進める予定でしょうか?

次のような方法を考えています。①学内企業説明会でチラシを配布し、企業にも見てもらうことで、本学の姿勢をアピールできると考えています。②各学部から選出された就職・キャリア支援委員で構成された委員会を通じて情報発信することで、就活ハラスメント防止の取り組みを学部からも学生に拡散することができます。

腰山

また、③学生に対するポスター*を作成しましたので、就職・キャリア支援室内に掲示する他、時期を見てメール配信を行うことも考えています。

*「学生向けパンフレット・ポスター」のダウンロードはこちら

木村

キャンパス・学生数が多いでしょうから、学生に対して色々な角度からの啓発を行うことや、企業、学内委員会、教員にも啓発していく点が東洋大学の特徴のようですね。

木村

東洋大学では学生に「就活ハラスメントアンケート」を実施しましたが、分析結果から気づいたことや対策に活かせる内容はありましたか?

アンケート結果からは、企業全体の問題というよりも、個々の社員の就活ハラスメントに対する認識、コンプライアンス意識、採用経験の差などが原因であることも示唆されます。特に、若い採用担当者の中には、自身の業務目標へのプレッシャーからハラスメント行為を行ってしまう可能性があると考えられます。これらの問題を解決するためには、企業全体での取り組みだけでなく、個々の社員の意識改革も必要となります。

腰山

当事者である学生は、事象が発生したら直ちに大学に相談するだけでなく、自身を守るための法知識を身に付けるなど、自衛を促すための取り組みも必要と考えています。就活ハラスメントに関するセミナーの企画も検討中です。

腰山

木村

最後に、他大学に向けてのメッセージをお願いします。

就活ハラスメント検討会の提言書は600以上のダウンロードがあり、特に大学の関心が高かったと伺っています。各大学とも、就活ハラスメント問題は喫緊の課題であることが伺えます。本学の取り組みが一例として参考になれば幸いです。

腰山

各大学がすでに就活ハラスメント防止に取り組んでいることは理解していますが、さらなる改善のための提案として、共同声明の発表なども考えられるかもしれませんね。

腰山

木村

腰山課長、本日は東洋大学の積極的な取組みについて、お話いただきありがとうございました。

サンプル太郎

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サンプル太郎

名称	就活ハラスメント検討会（座長　法政大学　廣川進教授）
担当	事務局　新谷、木村
mail	shukatsu-harassment-kentokai@oasis3.com
HP	https://shukatsu-harassment-kentokai.hp.peraichi.com/
見出し	ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

参加者

木村

腰山様

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