相談員座談会
~オワハラ事例~
CHECK!
オワハラの現状を知る
「オワハラ」は、「就職をしたいという学生の弱みに付け込んだ、学生の職業選択の自由を妨げる行為」とされていますが、具体的にどのような言動を学生が受けているのかについては、網羅されていません。
そこで、まずは「オワハラ」の現状を探るべく、様々な大学で相談員として日々学生さんと接している方々と「オワハラ」をテーマに座談会を行いました。

※2023年5月 オンラインにて実施
メリット
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参加者

事務局K

私立大学でのキャリア教育科目を担当、過去6年間、私立大学での就職相談経験有

国立大学Aさん

国立・私立大学での就職相談員、以前は企業で人事採用を担当

私立大学Bさん

私立大学での就職相談員歴16年、現在は私立大学の専任講師として勤務

国立・私立大学Cさん

国立大学2校、私立大学5校で就職相談員の経験有、現在は大学生向けキャリア支援と社会人向けキャリアカウンセリングに従事

私立大学Dさん

私立大学で就職相談業務に従事

小見出し

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事務局K
2024年度卒の現3年生から、文部科学省、厚生労働省、経済産業省3省合同で「企業はオワハラを行わないこと」を要請しています。具体的にオワハラとは、「採用選考における学生の職業選択の自由を妨げる行為」とありますが、就職相談員の皆さんは、実際にどのような相談を受けたことがありますか?
Aさん
面接開始の6月1日前に内定が出ている学生は多いですよね。
ある企業は内々定を出した後に、学生の「他社選考状況はどうか」とさんざん質問した後で、学生にある程度の猶予期間は与えるものの、他社の選考が終わる前の日付を示して、「その期日で誓約書を出してほしい」とだけ言うのです。するとその文脈から、学生はそれまでに全ての他社選考を断らなくてはいけない、整理してほしいという意味で受け取ってしまう。相談に来た学生は、交渉が苦手な学生だったので、「だったら、決めちゃったほうがいいかも・・・」という状況になってしまいました。
事務局K
なるほど、「他社を断ってほしい」という言葉は一切出さず、誓約書の期限で学生に決断を迫るケースですね。企業と学生のパワー差を考えると学生はとても苦しいですね。
Bさん
私が相談を受けた学生は、東京近郊の勤務を志望していることを面接でも話していました。内々定をもらった時に、「東京近郊で働きたいのであれば、内々定承諾の先着順で配属先が決まるよ。東京以外なら全然待つけどね」と、半分脅しのようなことを言われ、勤務地で内々定承諾の期限を区切られました。学生は東京近郊希望だったので、私達と相談して、とりあえず内定を承諾しようという話になりました。体育会系で真面目な学生だったので「ちゃんとしなければいけない」という思いから追い詰められたようです。

他にも、採用枠があるので、当社が一番と決めてから最終面接を受けてほしいと言われた後で、「ただし空き枠は〇枠くらいだから」というプレッシャーをかけられ、ひどく焦らされた学生もいました。
事務局K
このケースは希望勤務地や内定枠で学生に承諾書提出や最終面接を迫るケースですね。
Cさん
私は、国立大学の大学院の学生さんからの相談で、内々定後に内定先からその学生の担当教授の推薦書を出してほしいと言われてとても困っていた事例がありました。その大学のキャリアセンターにいた時は、センター長が「うちの大学は推薦書の提出はやらない」と言って、教授の先生方ともスタンスを合わせていましたので、それで、学生が内々定を取り消されるようなことはなかったです。

オワハラって、どの段階で、どんなタイミングで言うかによって学生に与える影響って変わってくると思うんです。人事採用をやっている知人の話を聞くと、どんどん内々定を出しても辞退が続くので、ボタンの掛け違いがおきたり、辞退を防ぐせめぎ合いみたいなところもあって、採用現場の苦労もあるのだとは思いますが。
Aさん
私も、「後付けで推薦状」を求められた学生がいました。自由応募にもかかわらず、選考中や内々定前に教授の推薦状を提出するように言われ、以前からそれが習慣になっている大手企業もあります。相談に来た時に「学生に推薦状はなくてもいいのでは?」とアドバイスしますが、最終面接の前に推薦状をと言われるので断れないし、出せば確実に内定がもらえると学生は感じてしまうのです。特に、留学生に対してこの後付け推薦状が多いような気がします。
事務局K
研究室を介しての推薦でなく、自由応募で先生を巻き込むのはエネルギーがいりますし、辞退の時はそれこそ、学生の心理的なハードルは高くなってしまいますよね。
Dさん
政府からのオワハラ提言があったので、「承諾書についての相談にのります」という企業は多いものの、承諾書の提出延長を相談すると他社状況を聞かれて、「これじゃあ〇日までに返事できないですよね、よく考えた上でもう一度延長するかを相談してください」となることが少なくない。相談しても相談になっていない感じがしています・・・。
Aさん
最近は、人事担当者が直接出てくるとプレッシャーがあるので、リクルーターを使って承諾書等の期限を伝えてきてくるケースもあります。会社の意見か、リクルーター個人の意見か、学生にとっては対応に迷うケースも増えている感じでしょうか。
事務局K
企業も承諾書・誓約書に替わる方法がないか再考する必要があるでしょうし、大学も法的に効力がないことは、もっと学生に積極的に伝えていかないといけないのでしょうね。
Bさん
最近、ちょっと違うケースもありまして・・・内々定でなく「合格」と言う表現を使う企業が結構多いのです。企業から学生が「合格」と言われて、学生は「内々定なの? 違うの?」と迷ってしまい、1か月後に承諾を伝えたら、「先に承諾した学生で採用枠は埋まった」と言われたそうです。学生はだまされた感じがしたと憤っていました。合格を保持させて、どうするかを迫る。学生は不安を持ちますよね。他にも「補欠合格」で「入社したいなら待っていてください」と言われて、学生は悔しくてお断りしたケースもありました。
事務局K
企業も学生確保が大変なのだと思いますが、学生さんの困惑と憤りが伝わってきますね。
他に、学生が辞退を申し出た時に、企業の対応で相談があった例などはありましたか?
Dさん
第一志望が決まり、内定承諾期限前に辞退を申し出たら数時間も説得され、怖くなって連絡をスルーしていたら、書面(手紙)で「あなたのために自社の良さを再度お伝えしたい」と連絡がきたので、学生は気持ちが追い詰めらて、相談にいらしたことがありました。
他には、内定辞退に最終的には応じたものの、その後、急に電話口で「あなたみたいな人は信用されない」となじられたり、急に人が変わったように冷たい態度をとられて心の傷になった学生もいます。これはさすがにパワハラじゃないかなと思いました。
事務局K
引き留め行為で心の傷やメンタル不調になるケースですね。
Cさん
8月に内定者研修後に参加し、学生が何だか違うなと思い辞退を申し出ると、「何が何でも辞退させない」という執拗な引き留めをする企業がありました。何度も辞退を伝えたものの、LINE等にも連絡がしつこく連絡が来るため、学生は手に負えないと相談に来ました。その会社は前年も同じことが起きていたので、その状況を相談員から報告し、理解したキャリアセンターの課長が、丁寧な内定辞退のメールを書くように指示するだけでなく、「今後の企業からの連絡は私を窓口にするように」といって学生に連絡させたところ、ぴたっとその企業からの連絡が止まりました。
事務局K
オワハラ問題では、大学が積極的に企業との間に入ることも大切ですね。
Cさん
他にも、研修を受けることを求められる会社もあって、事前に内々定を辞退したら研修費を請求すると言われていたのですが、実際に辞退をすると研修費や共済費を請求されたこともありましたね。内々定がでたのが、4年生の1月頃と遅かったことはあるのですが・・・。
Aさん
企業の人事採用が苦労していることも、その気持ちも分かるのですが、ただ、オワハラの状態になってしまう学生と話をすると、学生への優先順位が違うのではないかなと感じています。企業に引き留められた学生が、何故迷うのかということを対応するのが先だと思うんです。学生は皆、ぞれぞれの会社でどんな仕事をするのか、具体的に言われたことがないと言っています。その会社で仕事として何をするか、働くイメージも持てないのに、「あなたのことを考えて引き留めている」とか、人情味で引き付けるというのは違うように思います。学生に仕事をする、この企業で働くイメージをしっかり持たせる、そういった関わりをする方が重要なんじゃないでしょうか。
事務局K
このあたりの人事採用担当と学生の認識のズレもオワハラを生む大きな要因と言えそうですね。
最近は、エージェントを活用する学生も増えているように思いますが、そのあたりはどうですか?
Dさん
特にエージェントは学生に早期から入り込んでいるため、学生は内定承諾を早期に迫られることが多いと感じています。「なかなかここからの活動は難しい」と言われて決めさせようとしたり・・・。
Bさん
内定をとった企業と話がしたいと言っても、エージェントが企業と直接関わらせてくれないので、学生が直接企業に連絡をすると、「俺たちの立場がない」「君みたいな人に内定を出す企業はない」などひどい言い方をされた学生もしました。今後はこういった、エージェントによるオワハラやハラスメントは増えるんじゃないでしょうか。大学はもっと、エージェントの仕組みや、お金のやり取りが発生していることなどを学生にきちんと教育していく必要があると思います。
Cさん
ChatGPTの出現もそうですが、社会が変化していますよね。就活が早期化し、ものすごい情報量が多い中で、自分に合った会社を探すことに学生が難易度を感じているでしょうから、ナビではなくダイレクトリクルーティングサービスを使う人たちが増えているのも、その変化の一つですよね。上手にエージェントを使いこなせる、巻き込める学生はいいのですが、そうでない学生が自分の就活、キャリアの軸がないまま第一志望ではない企業で内定をもらうことが増えると、色々な問題が出てくるんじゃないでしょうか。
事務局K
大学は、エージェントにしっかりオワハラ防止を発信する必要がありますし、学生の就職やキャリアに関する教育や学生との接点を充実させる必要もありそうですね。
その他、就活の早期化・長期化で起きそうなことは何かありますか?
Aさん
今、インターンシップを半年~1年と長期にやっている学生も増えていますよね。システム会社やベンチャーコンサル会社など、どんな仕事ができるのかを知りたくてインターンしているのに、その会社に口説かれてしまい、納得しているならいいですけど、断りにくいから入社してしまう学生もでてくるのではないでしょうか。
事務局K
最後に、私が懸念しているのは、早期化によりスピード選抜で内々定をだした結果、ミスマッチが増えることです。勿論、企業が一方的に内々定を取り消すことは許されませんが、学生本人が望まないのに辞退させるようなことはあってはならないと思っています。

皆さん、色々な貴重なお話をありがとうございました。これで座談会は終わりますが、今後も更なる売手市場が続く中で、「オワハラ」は学生だけでなく、企業にとってもマイナス部分が大きいことが見えてきました。大学・企業が一緒になって考えていく問題だということが改めて分かったように思います。

お問合せ

名称 就活ハラスメント検討会
(座長 法政大学 廣川進教授)
担当 事務局 新谷、木村
mail
shukatsu-harassment-kentokai@oasis3.com
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